新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し、一部の現場では医療崩壊、介護崩壊の瀬戸際という実態も報告されるなか、保健医療の現場ではソーシャルワーカーが対応すべきニーズが激増しています。
それは、例えば、外出が抑制されたために心身の機能の低下をきたしている要介護者の方や、介護負担が増大している家族の方などの心理的・社会的問題の解決援助です。あるいは、COVID-19の患者を受け入れるため転院を余儀なくされる方々への転院援助、感染を恐れ腎不全や糖尿病などの重篤な疾病を抱えているにもかかわらず必要な受診を控えてしまう方々への受診・受療援助です。長引く外出自粛要請で経済活動が大幅に低下し未曽有の経済危機が予想されるなか、今後は経済的問題を抱える方々への援助もますます重要になってくるでしょう。
これらは、今まで経験したことのない様相で立ち顕れてきます。しかも、感染するリスク、感染させるリスクを低下させるために対面での相談援助という方法が難しいなか、手段・方法の工夫も様々に必要になってきています。まさに、ソーシャルワーカーの創造性が試されているのです。現場のソーシャルワーカーは日々悩みながら、保健医療チームの一員として、患者、家族を守り、この事態を乗り越えるために苦闘しています。
この危機のなかで、保健医療現場のソーシャルワーカーがすべきことは何か、できることは何か、どんな壁にぶつかり、どんな新しい実践を生み出しているのか。それは、今闘っているソーシャルワーカーの力となるとともに、今後のソーシャルワークの新たな展開にもつながるものとなるでしょう。貴重な苦闘の実践のなかからそのような力を引き出すのも現下の本会の役割だと考えます。
COVID-19の感染拡大が収まることを切に祈りつつ、どのような局面に至ろうとも、皆様とともに、COVID-19の危機にあるすべての患者、家族とそれを支えるソーシャルワーカーを支援するために本会は全力を尽くします。
2020年4月28日
一般社団法人日本保健医療社会福祉学会
会長 椋野 美智子
|