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お知らせ
能登半島地震に関する声明

 2024年1月1日能登半島地震(以下、本震災とする)は家屋の倒壊、火災、津波、液状化現象等により、甚大な被害をもたらしました。亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 本震災からおおより4週間近くを経ていますが多くの被災者は余震が頻繁に続く中で損傷の激しい自宅や避難所での生活であり、ライフラインの完全復旧やこれからの生活再建も見通しが立てられず心休まることのない日々を過ごされていることと思います。

本学会におきましても、本震災への支援活動を学会として取り組むことを決議いたしました。
一日も早く被災者の生活再建がはかられるための支援を目指し、微力を注いでまいりたいと思います。


2024年1月27日
一般社団法人日本保健医療社会福祉学会
会長 熊谷 忠和

子ども家庭福祉に関する資格の検討について

 児童相談所における虐待相談対応件数の増加を背景に、子ども家庭福祉に関わる専門職の体制強化と資質の向上が喫緊の課題とされ、現在、厚生労働省社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会で、「児童福祉の専門知識・技術を必要とする支援を行う者の資格の在り方その他の資質の向上策」について検討が進められています。保健医療分野のソーシャルワーカーは救急医療の現場を始めとして児童虐待等のケースに関わることも多いことから、会員の皆さまには関心を持っていただきたくお知らせいたします。

社会的養育専門委員会での検討状況は次のサイトでご覧いただけます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126712.html

感染症法等の改正について

 一般社団法人日本保健医療社会福祉学会は、実践者と研究者が協働して保健医療の場におけるソーシャルワーク研究を行う学会です。患者のかかえる経済的、心理的・社会的問題の解決、調整を援助し、社会復帰の促進を図る研究に取り組んでおります。

 当学会は、患者や感染者が入院や調査を拒否する背景には、経済的、心理的・社会的問題があり、罰則をもって強制する前に、まずはその解決を支援することが重要だと考えます。

 このような観点から、当学会は、「感染者とその関係者の人権に最大限の配慮を行うよう」求める、2021年1月14日付けの一般社団法人日本医学会連合「感染症法等の改正に関する緊急声明」に賛同致します。


2021年1月25日
一般社団法人日本保健医療社会福祉学会
会長 椋野 美智子


一般社団法人日本医学会連合HPより転載

感染症法等の改正に関する緊急声明


2021年1月14日
一般社団法人日本医学会連合
会長 門田 守人


 現在、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下、感染症法)等の改正が検討されています。報道や政府与野党連絡協議会資料によれば、「新型コロナウイルス感染症の患者・感染者が入院措置に反したり、積極的疫学調査・検査を拒否したりした場合などには刑事罰や罰則を科す」とされています。

 日本医学会連合は、感染症法等の改正に際して、感染者とその関係者の人権と個人情報が守られ、感染者が最適な医療を受けられることを保証するため、次のことが反映されるよう、ここに声明を発します。

1) 感染症の制御は国民の理解と協力によるべきであり、法のもとで患者・感染者の入院強制や検査・情報提供の義務に、刑事罰や罰則を伴わせる条項を設けないこと。
2) 患者・感染者を受け入れる医療施設や宿泊施設が十分に確保された上で、入院入所の要否に関する基準を統一し、入院入所の受け入れに施設間格差や地域間格差が無いようにすること。
3) 感染拡大の阻止のために入院勧告、もしくは宿泊療養・自宅療養の要請の措置を行う際には、措置に伴って発生する社会的不利益に対して、本人の就労機会の保障、所得保障や医療介護サービス、その家族への育児介護サービスの無償提供などの十分な補償を行うこと。
4) 患者・感染者とその関係者に対する偏見・差別行為を防止するために、適切かつ有効な法的規制を行うこと。

 以下にこの声明を発出するにいたった理由を記します。

 現行の感染症法における諸施策は、「新感染症その他の感染症に迅速かつ適確に対応することができるよう、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、これらの者の人権を尊重しつつ、総合的かつ計画的に推進される」ことを基本理念(第2条)としています。この基本理念は、「(前略)我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている(同法・前文)」との認識に基づいています。

 かつて結核・ハンセン病では患者・感染者の強制収容が法的になされ、蔓延防止の名目のもと、科学的根拠が乏しいにもかかわらず、著しい人権侵害が行われてきました。上記のように現行の感染症法は、この歴史的反省のうえに成立した経緯があることを深く認識する必要があります。また、性感染症対策や後天性免疫不全症候群(AIDS)対策において強制的な措置を実施した多くの国が既に経験したことであり、公衆衛生の実践上もデメリットが大きいことが確認済みです。

 入院措置を拒否する感染者には、措置により阻害される社会的役割(たとえば就労や家庭役割の喪失)、周囲からの偏見・差別などの理由があるかもしれません。現に新型コロナウイルス感染症の患者・感染者、あるいは治療にあたる医療従事者への偏見・差別があることが報道されています。これらの状況を抑止する対策を伴わずに、感染者個人に責任を負わせることは、倫理的に受け入れがたいと言わざるをえません。

 罰則を伴う強制は国民に恐怖や不安・差別を惹起することにもつながり、感染症対策をはじめとするすべての公衆衛生施策において不可欠な、国民の主体的で積極的な参加と協力を得ることを著しく妨げる恐れがあります。刑事罰・罰則が科されることになると、それを恐れるあまり、検査を受けない、あるいは検査結果を隠蔽する可能性があります。結果、感染の抑止が困難になることが想定されます。
 以上から、感染症法等の改正に際しては、感染者とその関係者の人権に最大限の配慮を行うように求めます。



新型コロナウイルス感染症に関する声明

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し、一部の現場では医療崩壊、介護崩壊の瀬戸際という実態も報告されるなか、保健医療の現場ではソーシャルワーカーが対応すべきニーズが激増しています。

 

 それは、例えば、外出が抑制されたために心身の機能の低下をきたしている要介護者の方や、介護負担が増大している家族の方などの心理的・社会的問題の解決援助です。あるいは、COVID-19の患者を受け入れるため転院を余儀なくされる方々への転院援助、感染を恐れ腎不全や糖尿病などの重篤な疾病を抱えているにもかかわらず必要な受診を控えてしまう方々への受診・受療援助です。長引く外出自粛要請で経済活動が大幅に低下し未曽有の経済危機が予想されるなか、今後は経済的問題を抱える方々への援助もますます重要になってくるでしょう。

 

 これらは、今まで経験したことのない様相で立ち顕れてきます。しかも、感染するリスク、感染させるリスクを低下させるために対面での相談援助という方法が難しいなか、手段・方法の工夫も様々に必要になってきています。まさに、ソーシャルワーカーの創造性が試されているのです。現場のソーシャルワーカーは日々悩みながら、保健医療チームの一員として、患者、家族を守り、この事態を乗り越えるために苦闘しています。

 

 この危機のなかで、保健医療現場のソーシャルワーカーがすべきことは何か、できることは何か、どんな壁にぶつかり、どんな新しい実践を生み出しているのか。それは、今闘っているソーシャルワーカーの力となるとともに、今後のソーシャルワークの新たな展開にもつながるものとなるでしょう。貴重な苦闘の実践のなかからそのような力を引き出すのも現下の本会の役割だと考えます。

 

 COVID-19の感染拡大が収まることを切に祈りつつ、どのような局面に至ろうとも、皆様とともに、COVID-19の危機にあるすべての患者、家族とそれを支えるソーシャルワーカーを支援するために本会は全力を尽くします。

 

2020年4月28日
一般社団法人日本保健医療社会福祉学会
会長 椋野 美智子


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